誰もがそうとは言わないが、親とは二回、別れがある。
一度目の別れは、子どもが実家を出ていくとき。
二度目の別れは、親がこの世から出ていくときだ。
2020年8月。コロナ禍の中、がん終末期で入院中の母・久仁子(くにこ)は、72歳の誕生日をどうしても自宅でお祝いしたい願う。痛い、苦しいと言ったら、一時退院の許可が下りないかもしれないと考え、最後の力を振り絞る。
久仁子は、一切の延命治療を拒否。尊厳死宣言書を残し、自分の最期を決めていた。
まだ生きていてほしい。だけど・・・旅立つ本人の希望を、息子は、夫は、どのように受け入れたのか?